2006年05月15日

漢字にみる「月 」 

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ある漢和辞典で「腹」を引こうとしたら
「月」部の中には見つからなかった…という経験はありますか?

「腹」「肺」「肝」「臓」など体に関係する漢字には
「月」という構成要素を持っているものが数多くあります。

この「月」は十五夜のお月様とは全く関係がなく
もともとは「肉」という字が変形して出来たものです。

漢字の世界では古くから「肉」に由来する「月」のことを「にくづき」と呼び
そうでない「月」と区別してきました。
そして「にくづき」を含む漢字は「肉」の部首の中に分類するというのが一般的だったのです。
ですから「にくづき」の漢字を「月」部の中に見つけることができなかったら
「肉」部を探してみるときっとみつかることと思います。

しかし、意味がわからない漢字を引くための辞典なのに
「体に関する文字だ」ということを知らなければ利用できないというのは
考えてみれば不便な話かもしれません。
最近では、さすがにこれに気付いたのか(笑)
「にくづき」の漢字も「月」部に納める漢和辞典が増えてきています。

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部首としての「月」


現在は「月」で統一されていますが、漢字の構成要素としての「月」
かつて「つき」「にくづき」「ふねづき」の実は三種類あり
書き方も微妙に違っていました。
もとはそれぞれ区別していたのですが
常用漢字ではこれらを全て「月」の字形にしています。

(1)『つきへん』tsukihen


本来の「月」の字は、中の二画の右側が離れていました。
「つきへん」を部首にした字は、月が欠けた状態を象った字でもあり
日にちや時間、月の様子・状態などに関するものを表現に使われる。

「朏」
tsukihenへんに「出(でる)」と書き、はじめて出る月…すなわち三日月の意

音読み
 ヒ、ハイ、ホツ
訓読み  みかずき、くらい、おろか
 
「朔」

tsukihenと「(もとへ返る意)」とから成り
月が闇夜からよみがえって月夜になる「ついたち」の意を表します。
音読み  サク
訓読み  ついたち
 
「期」

tsukihenと「其(めぐる意)」とから成り
月がひとめぐりする一ヶ月、一定の時間、時を示し合う、約束する意を表します。
音読み  キ、ゴ
訓読み  ちぎる
 
この他、「望」・「朗」などの「月」も「つきへん」です。
「望」は満月の意を表し「朗」は月の明るい様子を表すことから
明らか・ほがらかの意味になりました。

※参考 http://rtk.web.infoseek.co.jp/cjk/rads/074.html

(2) 『にくづき』
niku_t

「肉」が偏になるときの省略形です。今の「月」がこの形。

すじのあるやわらかい切り肉の形を表した文字であり
肉の状態、性質、内臓、からだの部分・状態などを表すのに使われる。
「にくづき」に属する漢字が体に関連することは、みなさんご存知の通りですね。
「腹」「肌」「肺」「脂」「肘」「肝」「肩」など例も多数。

※参考 http://rtk.web.infoseek.co.jp/cjk/rads/130.html


(3) 『ふねづき』
fune_t

「舟」が偏となるときの省略形
です。中の二画は斜めの二点でした。
「ふねづき」は今の辞書に部首として選ばれていないため
知らない人も多いと思います。

「服」
「舟(ふね)」「(わきにつける意)」とから成り
もとは舟の両側の板(一説にそえ舟)の意を表したが
そえもの、身につける「きもの」の意に用いる。
また、わきにつく意から、人につき従う、従わせる意に用いる。
この他「朝」・「朕」などの「月」も「ふねづき」になります。
その他に「湖」・「晴」・「潮」など
いずれも天体である「月」をもとにしたものでは無いことが分かります。


 「暮らしに生かす旧暦ノート 」
美しい自然をうつし、四季の移ろいを知らせてくれる旧暦。
天文学から日本の習わしまで縦横無尽に綴る。
(月の満ち欠け(朔望)の話/お月様の満ち欠けと呼び名 ほか)

暮らしに生かす旧暦ノート

 「月の横顔」
大鹿節子五行歌集
心遊び/花あかり/菊のはながら/お月さまの横顔/ひたむきに/
落葉かさこそ/渇水のまち/夢紡ぎ〔ほか〕
月の横顔




 
Posted by sara1116 at 23:45│Comments(1)clip!月の言ノ葉

この記事へのコメント
朝で明るい縦横無尽とか、書き方を構成しなかったよ。


Posted by BlogPetのLUNE at 2006年05月16日 09:20