2011年05月09日

月光論より 

「月」がテーマになっている中島みゆきさんの歌詩。

ca-piano

誰か 僕を呼ぶ声がする

深い夜の 海の底から

目を 開ければ窓の外には

のぞくように 傾いた月


「歌姫」


まるで月光がさざ波のように押し寄せてきて
いっぺんに幻想の世界に引きずりこまれていくようです。

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アルバム『寒水魚』
最初の「悪女」で既に月のイメージが歌われていることに気付きます。
あのあまりにも有名なリフレイン
「悪女になるなら 月夜はおよしよ/素直になりすぎる」

中島みゆき/寒水魚

中島みゆき/寒水魚


『寒水魚』でもう一つ「月」が歌われているのは「家出」
リフレインの一節です。

夜は浅く

逃げる者には

足跡だらけの 月あかり

比べることが悲しいものも

この世にあるよと 月あかり


「悪女」とは逆に「月あかり」の魔術に従うままに家を出た「私」が
「あなたがいればすべてだけれど/それでも 私 ふりかえる」と
「足跡」を見詰めています。
月の魔術は「私」の本心を映し出す鏡の役割を果しているようです。

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「砂の船」のリフレインは次のように歌われます。

古い熱い夢の数だけ

いま 誰もいない夜の海を

砂の船がゆく


「私」であって私でない
あるいは「あなた」でも「私」でもあるような「他者としての自己」。
そして、そのような新しい「自己」を生み出したものこそが
「砂の船」に描かれる「傾いた月」の魔術的エネルギー。


中島みゆきさんの詩には他にも「黄色い犬」
「シニカル・ムーン」
「月の赤ん坊」
といった月の名作があります。
(これに「砂の船」を加えて「月の四部作」と呼びたいところです)があります。

moonline


上記した歌詞と添文は
中心主題に「月」のイメージを置いて
アルバム『寒水魚』を一貫した一冊の詩集のように読むという試みと
それに対して返答されている『月光論』

『河南文學』第4(大阪藝術大学文藝学科研究室、19945)より抜粋。

なかなか興味深く拝読させて頂きました。

山田兼士の研究室


moonline


中島みゆき / お月さま欲しい
I want the moon



中島 みゆき オフィシャルサイト 




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Posted by sara1116 at 14:42│Comments(2)TrackBack(0)clip!月の扉

月の言ノ葉

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この記事へのコメント
沙羅さん、こんにちわ。
中島みゆきさん、好きです。
「悪女」も大好きでカラオケでよく歌います♪
お友達誘って、カラオケ行きたくなりました〜
今日の北海道はようやく晴れ
サクラの木の下で、撮影してきます!
Posted by 緑川魔子 at 2011年05月15日 10:21
こんにちは魔子さん。
サクラサクの写真も拝見しました。
青空と淡い桜色の優しいコントラストは大好きです。
こちらは新緑の緑も濃くなり、夏日になる日も増えてきました。

カラオケ…もう随分ご無沙汰ですが
お腹から声を出して歌うと気持ちが良い♪楽しいですよね。
私は、ひと昔前の楽曲専門ですが(笑)
Posted by 沙羅 at 2011年05月15日 15:17