2011年12月18日

冬の満月は高く昇る「月天心」 

これから冬場の満月は、夏の太陽と同じくらい空の高いところに昇り
天の真ん中を通っていく「月天心」
月天心とは冬の夜、天の中心を通っているように高く位置する満月。
冬場、天空の真ん中を通っていく月。

冬至頃から (2011年12月22日)
真冬の満月は真上近くを通り、煌々と輝き
天の中心を通っているように見えます。この状態を月天心といいます。
北半球の中緯度にある日本では、冬の満月がもっとも高度が高くなります。

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真冬の月は、天高く孤高に冴え冴えと輝いて見えます。
冷気と澄み渡る大気で、気高く深閑として輝いているかのよう。
その孤高の輝きの理由は、月天心あるいは沖天心の言葉とおり
天頂に届きそうな寒の頃の高度の高い月。

北半球では、太陽高度は冬至に最も低く、夏至に最も高くなります。
さらに満月の時、月と太陽は地球を挟んでちょうど反対側に位置し
そして月はおおよそ太陽の通り道の黄道上を動いているので
月と太陽の高さは逆の関係となるのです。
したがって、太陽高度の高い夏至の頃の満月は高度が低く見え
逆に、太陽高度の低い冬至の頃には満月は頭上高く見えるのです。

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月が昇って沈んで行くまでの時間の中には
月が中天(空の真ん中)に来る時があります。
その状態のことを言っています。
「月天心」または「月天心にかかる」とは
「今、月が空の真ん中の位置にある」ということ。

地球の自転軸は平均で23.4度傾いています。
そのため冬の満月は月天心とも呼び、高度が大きくなり
ちょうど月が頭上を通るように見えます。
逆に夏至の頃の満月は高度が低くなります。
同じ原理で冬の太陽の高度は低くなり、夏、高度が高くなります。

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天心は天の中心、月が天の中心にある事、月の状態を表わす言葉(満月)
もう一つの意味で、天の心を意味しています。

夏の太陽が頭上近くから照らすように
冬の満月は頭の真上近くから皓々と輝き
天の中心を通っているように見えます。
日本は北半球の中緯度にあるため、冬の満月は年間を通して
もっとも高度が高くなります。
また、月を天頂に見る地点を月下点といいます。

太陽が一年掛けて通る道筋を「黄道(こうどう)」と言います。
これに対して月が通る道筋を「白道」と言います。

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大寒(だいかん) 2012年1月21日(陽暦の1月20日頃)
「大いに寒し」という時期です。
太陽黄経が春分に向けて角度を広げていく時でもあります。
「小寒」「大寒」を合わせた期間を「寒」と言います。
小寒の始まりから立春までの期間を「寒中」とか「寒の内」とも言い
かつては、この期間に「寒中見舞い」といって
知人の健康を見舞ったともありましたが、今は廃れてしまった習慣です。 

この頃の月は「冬満月」や「天心の月」とも言い
月も星も美しく輝き、ことに満月は天心(天頂)近くに
皎々と冴えて下界を照らしています。やがて、季節風の交替も間近になり
暖かい南東の風が訪れるようになると次第に霞が立ち
月がおぼろに霞んでいくようになります。
また日本の四季は、静かに暦通り新たな廻りを繰り返します。
 
冬の満月は確かに天頂近くまで昇ります。
与謝蕪村の句「月天心貧しき町を通りけり」
空の真中で輝く満月に照らし出された町の景色を詠んだものといわれています。
月の光による俗界の美化がねらいだとか。
「天心」とは「空のまんなか」です(『日本国語大辞典』小学館

「天心にいざよふ月の下に住む」 (林千代子)

「皎々と わが家に向かう 冬の月」(周柚) 

「冬の月寂寞として高きかな」   日野草城


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Posted by sara1116 at 23:46│Comments(0)TrackBack(0)clip!月の扉

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