【解説】
四季を通しての月ではあるのですが、冬の月といえば
寒さによる心理的な要因もあってか
荒涼とした寂寥感が伴う。雲が吹き払らわれた空の
すさまじいまでの月の光には誰しもが心をゆすられる思いがあります。
春は三日月のゆりかごに揺られ 秋は三日月の椅子に座って・・・☾*
三日月とは、月の満ち欠けを基準にした太陰暦(旧暦)の三日の月からきています。
2月から4月は、夕方の三日月に注目。
月が平になり舟のようにみえます。
2月から4月頃までの三日月は、日没後の西空に輝いている面を真下に向けて
お皿が空に浮かんでいるような形に見えます。
別名「平らな三日月」と呼ばれることもあります。
これは、この時期の白道(天球上の月の通り道)が、西に沈む頃は
地平線に立っているような大きな角度で接しているからです。
そのため、三日月としては薄明終了時頃を基準に観察してみると
ほかの季節より地平高度が高く見え、見やすい条件になっています。
三日月とは、月の満ち欠けを基準にした太陰暦(旧暦)の三日の月からきています。
旧暦では毎月、月齢0の新月が1日ですから、三日月は月齢2となり、だいぶ細い月です。
春の三日月は、真西より北に寄った空で、下が細く光って寝た形をしていますが
秋の三日月は南西の空で、右側が細く光って立った形をしています。
傾きが大きく、ゴンドラの様に横に寝そぺったような状態の春の三日月
傾きが小さく縦に立った状態の秋の三日月を見て、古人は
「春三日月にはお酒がよく入り、秋三日月ではお酒がこぼれる」などと興じていました。
「春三日月にはお酒がよく入り、秋三日月ではお酒がこぼれる」などと興じていました。
西洋には「春は三日月のくぼんだところに水が溜まるので
霞がかかって朧月夜となるが、秋には三日月に水が溜まらないので
空はすっきりと澄みわたる」という意味のことわざが古くから伝わっているそうです。
http://www.saninjyoho.com/pontaclub/ponta.htm
・「春の三日月」
3月夕方、西の空
太陽がほぼ真西に沈んでいます。真西に至る左に傾いた線が「天の赤道」。
太陽系の惑星は、黄道付近に見えるので、水星と太陽を結ぶ線(黄道)を考えると
地平線に対して立っているのがわかります。
つまり春の三日月は、比較的に下のほうから照らされるので寝て見えます。
・「秋の三日月」
9月夕方、西の空
秋分までやや日にちがあるので、太陽は真西より北よりに沈んでいます。
真西に至る左に傾いた線が「天の赤道」。
太陽と木星・金星を結ぶおよその線が黄道で、地平線に対し寝ています。
つまり秋の三日月は、比較的に横から照らされるので、立っている様に見えます。 ◆「朏暦(みかづきごよみ)」 安政七年(万延元年1860)
http://library.nao.ac.jp/kichou/open/index.html
写真は仙台藩の高橋淵黙(えんもく)作の朏暦(宮城県史第12巻・1860年)。
毎月三日の六ツ時、すなわち日が暮れ切った時の月の形と
毎月三日の六ツ時、すなわち日が暮れ切った時の月の形と
その弦の傾斜方向とを図示した珍しいもの・・・とある。
毎月三日に月がどのように見えるのかを計算した朏(みかづき)暦。
月ごとに三日月の傾き方が異なっていることがわかります。
http://library.nao.ac.jp/kichou/open/index.html
三日月信仰に基づくものですが、毎月の三日月の傾きが描かれていて興味深いです。
この朏暦(みかづきごよみ)は、仙台藩の高橋淵黙(元貞、1821-1870)が作った
安政七年(万延元年1860)の暦で、月頭暦とは違い
その月(天体の moon でなく暦の month )の大小だけでなく
毎月三日の干支と暮六ツ時の高度方位と、三日月の様子
(光っている部分が立っているか寝ているか) が描かれています。
安政七年(万延元年1860)の暦で、月頭暦とは違い
その月(天体の moon でなく暦の month )の大小だけでなく
毎月三日の干支と暮六ツ時の高度方位と、三日月の様子
(光っている部分が立っているか寝ているか) が描かれています。
「右記ス所ハ毎月初三月ノ暮六ツ時見ル所ノ月
光多少ノ分数及ヒ月光形象ノ向フ斜直ト月
ノ見ユル方位ト月ノ地平ヨリ昇ル高度ナリ」
この暦からも日没後西の空に見える三日月が、春分に近い時は寝て高度が高く
秋分に近い時には立っていて低いのがわかります。
三日月は新月の後に見られる初めての月なので、古い中国の暦法では
二日遡って朔日(ついたち)(「つきたち」の変化)の月の位置を推定したとされています。 仙台藩天文学者 文政4年(1821)−明治3年(1870)
高橋恒三郎。高橋淵黙、玉城と号す。この暦を作った高橋淵黙は、安政五年の朏暦の出版が元で
周囲の仲間と仲違いをして出奔したとありますが
詳しいことは判っていません。(仙台人物大辞書)
この暦は、翌年の安政六年に作られたものです。
晩香山路先生門人とあるように、高橋は天文方・山路家とも関わりがある一方
大阪の和算家・福田理軒の弟子でもありました。明治三年に江戸で亡くなっています。
季節による三日月の傾きに違いがあるのは何故でしょう。
●月の通り道の白道の、西の地平線に対する傾きのため。
白道と黄道は約5度しか傾いていないので、黄道で考えてみましょう。
春分の日の太陽は、天の赤道上にあります。
天の赤道は西の地平線に対し、東京では南から54.5度傾いています。
黄道は天の赤道と23.4度傾いているので、春分の日の太陽が西の地平線に沈むとき
黄道は54.5度+23.4度で、78度の傾きになります。
三日月は、太陽の30度ほど東側にあるときの月ですから
春分の頃は、下の方から照らされた形になり、寝て見えるのです。
また、三日月の位置がこの頃、太陽より一番北側にあるので
日の入り後、見えている時間が長いのです。
秋分の日も、太陽は天の赤道上にあるのですが
地平線に対する黄道の傾きが日の入りのとき、31度しかありません。
そこで、この頃の三日月は横から照らされた形になり、立って見えるのです。
位置が南の方にあるため、秋の三日月は太陽を追うように、すぐ沈んでしまいます。
夏と冬の三日月の傾きは、その中間となります。
このように、一年間で三日月の見える位置や傾き加減はだいぶ違いますが
日本で夕方見える三日月は下の方が細く光り
右上がりになっていることには変わりはありません。 http://www.saninjyoho.com/pontaclub/ponta.htm
●太陽と月、地球の位置関係や軌道の違いによるもの。
太陽は春分や秋分の頃ほぼ真西に沈みますが
月は春と秋で異なる軌道を描いて沈んでいきます。
そのため、西の空にある太陽から月が照らされる角度も違ってくるのです。
春の三日月は太陽よりも高い空を通り、地面に対して垂直に近い角度で
西に沈んでいくため、月は下側を太陽に照らされて三日月は寝て見えます。
一方、秋の三日月は太陽よりやや低い空を通り地面に対して
小さい角度で移動しながら沈んでいきます。
そのため月は太陽の光を横から浴び、三日月は立った形になるのです。 春の黄道は立っていて、その先に太陽がいますから、三日月は横に倒れています。
秋の黄道は寝ていて、その先に太陽がいますから、三日月は縦になります。
春の黄道は立っている=三日月は寝ている
秋の黄道は寝ている=三日月は立っている
春の春分の日に太陽は天の赤道を、南から北へ横切ります。
逆に秋の秋分の日には、北から南へ横切ります。
つまり春分(秋分)の前後は、黄道と天の赤道が交わり
「傾き」による効果がもっとも顕著にあらわれているわけです。
春分の頃の様子をみるために、西の地平線に春分点を置いて
天の赤道を描くと、黄道はさらに23.4°起き上がり
ほとんど上下方向に黄道が立ち上がります。
三日月というのは、朔を過ぎて月が太陽の東にやや離れた頃です。
太陽は月を下の方向から照らす状態になり、三日月が横になって見えます。 ちなみに・・・
上弦の月の向き (夕方)
夕方18時ごろ、上弦の月は南の空に見えます。
夕方18時ごろ、上弦の月は南の空に見えます。
夏の黄道は南西にシフト=弦は少し上向き
冬の黄道は南東にシフト=弦は少し下向き 〇春や秋の黄道は南側ではほぼ水平になりますから、弦は立って見えます。
〇夏の黄道は南西にシフトしていて、その先に太陽がいますから、弦は少し上向きになります。
三日月の傾き…特に春の「水平月」の傾きは目に付くので
その月がどっち上がりかで豊作や景気を占ったようです。
『月の伝承のページ』 に東日本を中心に各地の伝承が集められています。
「平らな三日月」の予報
参考サイト
Mystery of success moon
月とツキの摩訶不思議学
月のきほん MOON GUIDE
月の本 Perfect guide to the moon
カレンダー ’14 月齢暦
【毎日が満たされる旧暦の魔法
書き込み式太陽と月のハッピーダイアリー
空と月と暦 天文学の身近な話題
月的生活 天の鏡「月と季節の暦」の時空
月の満ち欠けのひみつ
春は寝ていて、秋は立っている三日月。
夏や冬の月はどうかといえば、この春と秋の状態のちょうど中間くらいです。
水に浮かんだゴンドラのような三日月を眺めたければ春の時期を狙いましょう。
◇有明の月の傾き
三日月の反対に明け方に見える細い有明の月。
二十六夜月とか二十七夜月と呼ばれる頃ですが
此方の傾きはどうなっているかというと
有明の月は春には立っていて、秋には寝ころんでいる、と三日月とは逆になっています。
明け方に見事なゴンドラのような月をみたいなら、秋がいいということです。
月に興味のある皆さん、毎月の三日月、季節ごとの三日月を眺めて
この傾きの違いを実際に確かめてみてはいかがでしょうか。 月に興味のある皆さん、毎月の三日月、季節ごとの三日月を眺めて
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